新井歯科は矯正専門歯科ではありませんが、総合歯科診療所として33年前から矯正治療を取り入れております。もちろん、院長の私が全て行っております。矯正治療には、部分矯正と全体矯正があります。開業した初めの頃は、歯にクラウンを被せる前や入れ歯を入れる前に傾いている歯を真っ直ぐに立たせたり、上下の咬み合わせが悪いところを部分的に治す部分矯正治療から始めました。この部分矯正は一般開業医が得意な分野で矯正専門医は苦手なようです。その後、全体矯正を簡単な症例から始めることになりました。歯に接着するブラケットと矯正用ワイヤーを使ってあらゆる方向に歯を動かして並べていきます。歯並びを綺麗にする矯正治療に年齢制限はございません。4才ぐらいから高齢者までどんな年齢でも可能です。当院の治療実績では、最高齢は80才以上の患者様です。気にしている歯並びを年齢的にあきらめている患者様は、あきらめずに是非当院への受診をお勧めします。現在では30年以上の経験を生かし、あらゆる症例を手がけています。
最近では20年程前からアメリカから導入されたブラケットとワイヤーを使わずに透明のマウスピースを使って歯並びを綺麗にする矯正治療(インビザライン)が流行っています。その後、類似のマウスピース矯正法が数社のメーカーから出ています。このか方法は、歯の表面にブラケットとワイヤーを付けないので他人から矯正治療をしていることがわかりません。それがこの方法の一番の特徴で矯正治療をしていることを他人に知られたくない患者様に人気があります。また、ブラケットとワイヤーが歯に付いていないので唇や頬の内面が傷つくことなく違和感が少ないのも特徴と言えるでしょう。いいことばかりに思えますが、もちろん欠点もあります。それは、うまく歯が並んでいくかは患者様が真面目にマウスピースを入れられるかどうかにかかっていて患者様次第ということになります。また、この方法でよく行なうのは、歯を動かすためには必要な量の隙間を作らなければならないのですが、その隙間作りは歯と歯の間を0.5㎜以内で削って作ります。(ストリッピングと言う)
この方法の治療の流れを説明すると、まず担当歯科医が歯並びの診断を行いコンピュータ上で目標とする歯並びをどのようにするかを決めます。そのデータをマウスピースを作ってくれる会社に依頼するとそのデータを元に作製された沢山のマウスピースが送られてきます。それらのマウスピースを担当歯科医に指示された通り患者様がひとつひとつ順番に真面目に入れ続けなければ効果が出ません。つまり、患者様が真面目にマウスピースを入れ続ける強い意志がなければなりません。そういう性格ではない人には向いていません。つまり、治療途中で自分の性格では続けるのが無理だとわかった時は、従来のブラケットとワイヤーを使った矯正治療に変更しないと歯並びは綺麗になりません。その場合、担当歯科医がブラケットとワイヤーを使った矯正治療もできればいいのですが、できない先生は他の矯正専門医に任せることになります。その場合、費用と治療期間など変わる可能性がありますのでマウスピース矯正を始める人は想定できるいろいろな状況を担当歯科医に質問して納得してから始めることをお勧めします。
ところで、新井歯科ではマウスピース矯正よりはるかに確実性と信頼性の高い従来型の矯正治療を行っております。奥歯以外は透明のブラケットを使っているためワイヤーを付けてもほとんど目立ちません。白くコーティングされたワイヤーもあり、より目立たなくすることもできます。
当院では小児の矯正は4才から始めることがあります。4才頃から始める矯正は、主に乳歯の前歯の反対咬合です。乳歯の反対咬合は、永久前歯がはえたときに正常になることがありますが20%以下です。80%以上が永久前歯がはえたときも反対のままです。つまり、乳歯の反対咬合は、そのまま放置しておくより早めに治したほうが安心です。
このように乳歯から永久歯に生え変わるときに出来るだけ綺麗な歯並びになるように歯の生える方向を誘導する治療を咬合誘導と言います。成長が止まってからの矯正治療では歯を何本か抜かなければならない場合があります。歯を抜かずに歯並びを綺麗にするためには、出来るだけ低年齢から始めたほうがいい場合が多く、6才ぐらいから小児の一期矯正治療(乳歯が残っている年齢までの矯正治療)を始めると歯を抜かずに済むことが多くなります。
下顎(下のアゴ)は9才頃までは顎の横幅が大きくなってきますが、10才以降は徐々に狭まってきます。つまり、9才までに矯正治療を開始したほうが自然の成長を生かすことができます。当院では小児の場合、総合的に考えると6〜8才に矯正治療を始めたほうがいいと考えています。
小児の矯正治療は、初めに診断のための資料作りをします。その後、取り外しが出来る装置を作り、毎日必ず装置を入れて寝てもらい、昼間は食事と学校以外は必ず入れるようにします。その装置の効果に限界がきたら、歯にブラケットとワイヤーを付けて通常の矯正治療を始めます。その後、目的の効果が得られたらワイヤーと、一部または全部のブラケットを外し、一時的な保定装置(矯正して動かした歯を戻らないようにしておく装置)を入れていただきます。乳歯が永久歯に生え変わるのを邪魔しないように注意しながら自然に生え変わるのを待ちます。乳歯と永久歯が自然に生え変わる時に異常がある場合は、正常に生えるように生える方向を修正する矯正装置を付けることがあります。このようにしながら、全ての乳歯が永久歯に生え変わり正常なかみ合わせが完成するまで観察と治療が続きます。
乳歯が全て抜けて永久歯に代わってしまった場合、12才ぐらいまでは、非抜歯(1本も歯を抜かずに)で矯正治療ができる可能性が高くなります。14才以上で成長のスパートが止まってくると矯正しても何本か抜歯しないと綺麗な歯並びにならない可能性が高くなります。
当院としては、成人矯正でも、できるだけ非抜歯(歯を抜かない)で矯正治療を行なっております。そのためにアンカースクリュー(顎の骨に金属の小さなネジを植え込む)を利用したり、ストリッピング(歯を動かすための隙間を歯と歯の間を僅かに削って作ること)を行なうことで目的を達成しています。ただし、難しい症例ほど、何本か抜歯しないと理想的な歯並びにすることができないことが多くなります。また、難症例ほど患者様からも歯科医からも妥協せざるを得ない場合が出てきますので、ご本人(子供の場合はご両親も)が十分納得した上で治療を受けてください。
歯科の場合、一般的に治療を途中で中断すると現状より悪化することが多くなります。矯正治療も通常は開始したら途中で止めることができません。矯正治療の費用には、技術料・処置料・材料費・観察管理などが含まれいるため途中で止めても費用の返金は致しかねますのでご理解の程よろしくお願い致します。
治療期間は、患者様の年齢と状況によってさまざまです。患者様が自分が治して欲しいところを治すだけでいい場合、比較的短期間に治すことができる場合があります。ただし、患者様が希望なさることを治すためには、患者様が思っているよりもはるかに長い期間がかかることもあります。一般的に簡単な矯正治療は6ヶ月〜1年、成人の全体矯正は早くて1年6ヶ月〜2年、通常2〜3年、成人の全体矯正治療で難易度が高い症例は3年〜5年かかることもあります。小児の矯正治療期間は、治療を始めた年齢から乳歯が全て永久歯に生え変わる12才頃まで、正常な咬み合わせになるように咬み合わせのための治療・監視を行なうことがあります。もちろん、小児本人と親が希望したことだけを解決できた時点で治療を終了して、その後は定期検診で観察していく場合は治療期間は短いので一概にどのぐらいの治療期間と説明できないこともあり、患者様が満足した時点で治療を終了することもあります。
歯並びが綺麗になった時点で歯を動かす矯正治療は終了します。ただし、歯並びが綺麗になってもすぐに矯正装置を全て除去してそのままにしておくと、数ヶ月も経たないうちに後戻り現象が起こり始めます。後戻り現象とは、綺麗になった歯並びが治療前の歯並びのように戻り始める現象です。治療前と全く同じに戻ることはないですが、歯を囲んでいる歯肉の影響・不安定な咬み合わせの影響・唇と頬と舌の筋肉による圧力の影響が原因で、せっかく綺麗に並んだ歯並びがその位置でそのまま止まっていることができず、自然に口の中で最も安定した位置に動いていきます。この後戻り現象を出来る限り防ぐために矯正装置をはずした後に必ず口の中に入れなければならない装置を保定装置と言います。
保定装置には、取り外しできる装置と歯をワイヤーと接着剤で固定する装置があります。どちらか一方ではなく、両方の保定装置を併用する場合が多いです。矯正治療は歯を動かす治療ですが、歯を綺麗に並べたら終わりではなく歯を動かす治療が終わってもその綺麗な歯並びをできるだけそのままの状態で維持し続けることが重要になります。つまり、歯を動かし綺麗な歯並びになって矯正装置をはずした後も保定装置を入れながら必ず定期検診を受けて異常がなく安定した経過をとっているか診てもらうことが必要になります。何年たっても保定装置を入れなくなると歯並びが崩れてくることがありますので入れ続けることが大切です。もちろん、入れないで済むようになる場合もありますが、それは矯正治療後の定期検診の経過を診ていく中での担当医の判断になります。
歯は矯正治療してもしなくても生涯にわたり少しずつ動いていきます。それは、自然現象で誰もが避けられません。歯が動いていく原因は、いろいろあります。歯の移動には、生理的移動と病的移動があり、生理的移動は歯の周りの筋肉の老化・舌の筋肉の老化・咬み合わせの変化・歯の喪失・歯の治療などが原因で、病的移動は主に歯周病が原因ですが、歯周病以外でも歯の周囲組織の炎症が原因です。高齢になってくると歯が全てそろっていて歯周病もない健康な人でも前歯、特に下の前歯の歯並びが窮屈になり凸凹になってきます。この自然の生理的現象にもいろいろな原因が考えられますが、歯が全体的に前、つまり唇方向に傾いていく現象が起きることで前歯にそのしわ寄せがきます。このように生涯にわたり歯は動いているのですから、矯正治療後の綺麗な歯並びをそのままの状態で維持していくことは大変なことなのです。是非このことを理解していただき、矯正治療後に保定装置を担当医の指示通りに入れることと定期検診を必ず受けることをお願い致します。
小児専門歯科、矯正専門歯科に診察してもらっても矯正治療を決断できない患者様はあらゆる年齢層に対して30年以上の経験をもつ新井歯科のセカンドオピニオンを是非参考にすることをお勧め致します。