歯ブラシの威力

信頼できる歯科医院の見分け方の1つに歯ブラシ指導があります。歯ブラシを上手にできるまで何度も丁寧に指導してくれる歯科医院は、あなたの歯を守ってくれる信頼できる歯科医院です。歯科衛生士や歯科助手による簡単な口頭での歯ブラシ指導や、歯ブラシ方法が書いてあるパンフレットを渡す程度では指導とは言えませんし、自分に合った正しい歯ブラシ法を身に付けることは出来ません。現在では、1日1回は10分以上の丁寧な歯ブラシをすることが推奨されています。1回1~3分で朝、昼、晩3回歯ブラシするよりも1日1回でいいので歯のプラーク(細菌の塊)除去と歯肉のマッサージに十分な時間をかけたほうが効果的なようです。また、睡眠中には唾液の量が減少し口の中の細菌が最も繁殖するという理由から就寝前の丁寧な歯ブラシがお口の健康維持に大切と言われています。

そもそも、なぜ歯ブラシをしなければいけないのでしょうか?それは、歯を失わない為に虫歯と歯周病を予防するためです。そのために歯ブラシを使って、以下の3つの目的を実行しましょう。

1. 歯に付着している細菌を除去する

2. 食べかすを除去する

3. 歯肉をマッサージして抵抗力をつける

近年では、お口を不潔にしておくと歯周病菌が血液を介して全身に回り、数々の病気(糖尿病・心筋梗塞・肺炎・早産・骨粗鬆症など)を悪化させる原因になると言われています。さらに、脳血管疾患や認知症予防にも効果があるだろうという報告も出てきています。つまり、健康・長寿のためにも丁寧な歯ブラシが大切なのです。

野生の猿は、木の実などを食べていますが、歯ブラシはしないのに虫歯はなく、歯周病もありません。なぜでしょう?それは、歯に付着しにくい天然の硬い食物を食べているからです。硬い食物は、歯肉を刺激して歯肉へのマッサージ効果もあるようです。現代人は、生の穀物や木の実をバリバリ食べることはしません。魚と野菜と果物は、生で食べますが、それ以外は、ほとんど調理・加工して食べています。食べやすく美味しくするために調理・加工して軟らかくした食物は、歯に付きやすく、口腔内に細菌が繁殖しやすい環境を与えてしまいます。さらに、味付けには調味料を使いますが、この調味料が細菌の繁殖を助けてしまいます。細菌は、糖質、特に砂糖が大好物で悪玉菌が急激に繁殖し、お口全体を汚します。ソース、ケチャップ、ドレッシング、マヨネーズなど砂糖が多く入っている調味料は少なくありません。また、合成甘味料や合成香料などには、危険な成分を含んでいるものもあると報告されています。

このように、一般的に私たち人間は口の中が汚れやすい食物を食べ、虫歯菌と歯周病菌が繁殖しやすい味付けをした食事をしているのです。犬や猫のペットも人間と同じような加工食品を食べるようになったため虫歯や歯周病にかかってしまいます。逆に言えば、口腔内悪玉細菌が増えにくい食事をしていれば、歯ブラシにそんなに神経質にならなくても口の中は悪化しないということになります。以上の説明でお分かりのように、突き詰めれば、口の中の病気はすべて食事が原因なのです。また、あなたの体はあなたの食事で作られていますので、害になるものを避けていかないと病気につながるのです。