患者さんとお話ししていると、日本の歯科治療がいかに素晴らしく恵まれているかということをご存じない方が多いことに気付かされます。日本では現在、医科も歯科も国民皆保険制度により何らかの公的医療保険に加入することでほとんどの病気を治療することが出来ます。ドイツやフランスなども日本と同様な医療保険制度をとっていますが、今のところ日本の保険制度が、総合的評価と自由度から世界最高レベルと考えられます。アメリカでは、高額な民間医療保険に加入して病気に備えなければなりません。しかし、保険料が高いため医療保険に加入できない国民もいます。医科の保険は入っても、歯科の保険までは家族分の保険料が払えないため加入できず、歯科治療が満足に受けられない人が多いようです。また、アメリカの場合は民間保険会社が治療費支払いの主導権を握っているため、治療法選択の範囲が狭められているように感じられます。保険会社としては治療費を出来るだけ抑えて払いたいためか、出来るだけ治療期間の短い確実性の高い治療に対して支払いを認める傾向があるようです。歯科の場合、例えば、虫歯や歯周病が悪化して治療が困難になった歯に対して、日本の優秀な歯科医ならば、徹底した治療により期間がかかる場合もありますが「抜かずに治していく」のに対して、現在のアメリカの歯科医療は、前述したように保険会社が支払いに応じやすい治療期間の短い方法を取らざるを得ないようです。
つまり、具体的には、虫歯がひどかったり中等度以上の歯周病の場合、抜かずに済む歯でも抜歯してインプラント治療を勧められるのが主流になっています。アメリカの歯科治療が単純化しているもう1つの理由は、弁護士が多く訴訟社会であるということです。訴訟社会であるため、時間を掛けて治療したのに結果的に患者さんが満足できる状態にならなかった場合、訴訟を起こされる可能性が大きいため、少しでも将来的に不安がある歯の治療にあたっては、保険会社からの支払いがスムーズで訴訟を起こされる可能性が低い治療として、「さっさと抜歯してインプラント治療」をすることが第一選択になります。つまり、現在のアメリカでは、日本の歯科医療のように虫歯や歯周病が進行した歯を長い期間を掛けて「抜かずに治療」していくことが出来ないのです。
確かに、先端医療技術ではアメリカが優れていることもあり学ぶこともあります。しかし、歯科医療全般に関しては、現在のアメリカ歯科医療に学ぶことはありません。なぜなら、アメリカは、歯を抜歯してインプラントに置き換えていく治療が主流であり、日本の優秀な歯科医は、天然歯を抜かずに治し、インプラントなどの人工物は最小限にとどめる治療をしているからです。新井歯科は、アメリカ的治療には賛成できません!天然歯を丁寧に治療して「抜かずに残す治療」を主体に進めております。あなたは、どちらを望みますか?